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​CV:

以下『シャンテクレールの葬送歌』でのネタバレを含みます。

「待って!お願い、置いていかないで……!」

ステラと共に向かったシャンテクレール家の地下・貯蔵庫にて地獄のような光景を目の当たりにした二人。

地下に広がる大量の白骨遺体の中には真新しいものも存在しており、それらは全て他者の手によって殺害されたような痕跡が見て取れる。誰が? 一体何の為に――? 考える余地すら与えず、二人に襲い掛かったのは全身黒づくめの牧師服を纏った人物らだった。襲い掛かってきた一人を退けると、倒れたその人物の手には『水かき』のようなものがあるのを確認した。隠れてその場をやりすごそうとするも、恐慌をきたしたステラはフィリパを置き去りにし一人その場から逃げ出してしまう。取り残されたフィリパだったが、彼女を待っていたのは死よりも恐ろしい末路であった。

「孕め、神の子をッ!」

「畜生……何であたしが、あ、あたしがこんな目ぇ遭わされてんだよ……全部、全部あのクソ女のせいで――ぢぎじょう……ド畜生め……」

ダゴンを崇拝する邪教徒に捕らえられたフィリパだったが、傍らには巫女服を纏った少女・ビヤーキーが

佇んでいる。ビヤーキーは言う、「貴女には重要な役割があります。だから殺しはしません」。冷たげに言い放つ彼女の顔は、無理やり年齢を止めたような人工的な美しさがあった。ビヤーキーの言う通りフィリパは殺されはしなかったものの、代わりに邪神ダゴンの子を産む為の器として捧げられる事となる。ビヤーキーは持っていた小刀でフィリパの身体に紋章を刻み始めた。吊るされた彼女にはもうほとんど理性的な部分は残されておらず、ひたすら自分を捨て置いたステラへの恨み言をぶつぶつと呟くだけであった。ビヤーキーのまじないで邪神ダゴンは復活し、クラウンはその力を受け継ぎ自身が転化する事を望んだ。アーノルドが駆けつけ、フィリパを助け出そうとしたものの彼女は復活したダゴンに一瞬で食いつかれ腕だけを残し絶命したのだった。

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