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七瀬 : そもそも、ナイトメアシリーズが思いついたきっかけが知りたいです。

やっぱり映画監督がよく言う『構想は子どもの時から既にあった』、というヤツですか?

 

黒井そうですね。何というか、私が作品を作るルーツそのものが小学生の時によくやる

妄想が原点な事が多いです。授業中に殺人鬼が校内を占拠したらどうしよう、とか。

七瀬 : 誰もが一度はやるヤツですね(笑)。

何ていうか、ナイトメア~はロマンが詰まりすぎてるんですよ。ゾンビ、ピストル持ったおっさん、セーラー服に日本刀の美少女、エログロ首チョンパに切り株モツ出しって豪華ですよね。ボンクラの大好きな要素全部詰め込んでる。

黒井 : こう、中学生くらいの男子の会話そのままですよね。修学旅行中にゾンビ出たらやばくね? しかも船だったら逃げ場ないし、って休み時間にかわすような会話のノリをそのまま再現してるかのような。

前田 : ナイトメアシリーズは、黒井さん自身があとがきでも言うように着想点は映画なんですよね。それはすごく分かります、目指すものは限りなく実写寄りなんだろうな~って。影響を与えた作品とかも教えて欲しいです。

黒井 : ロメロのゾンビはパイオニアすぎて大前提なので私が語るまでもないのでしょうが、ガチのゾンビファンと話す時に恥かかないように覚えておきましょう。ロメロ。

前田 : ガチのゾンビファンと話す機会が一般の人はそんなにないのでは(笑)。

只、そういった人は古典的なゾンビにこだわりがある気がするので確かに迂闊にゾンビものいいよな! 俺バイオ好きだし! とは言えない空気はあるのかもしれない

七瀬 : ゾンビも色んなパターンがいますしね。自分らでも勝てそうと思わせておいて、

作品によっては走るだけじゃなくて武器を使う奴もいるし、巨大化する奴もいるし天井走るやつもいましたね。ほんとに我々で勝てるのだろうか……

前田 : バタリアンに至っては頭潰しても死なないですし。で、主人公が『映画で見たのと違う!』って。

ナイトメアはロメロリスペクトなのか、セオリー通りに頭潰したら死ぬ、噛まれたらアウト、無印なんかはウイルス感染ではなくて呪術的な感じで復活してたんで更に古典的でしたね

黒井 : そうそう。ネクロノミコンを使って死者を蘇らせる……っていうのは完全に『死霊のはらわた』が頭にありましたね。映画では死者の書って訳してあったんですが。

正直な話、ナイトメアはここまで続く予定じゃなかったので途中から路線変更して感染モノに転じた感じです。

あ、あと、補足ですけどゾンビってモンスター自体はロメロよりも先に『恐怖城』っていう白黒映画が取り扱ってるんですよ。只、ナウなゾンビのように噛まれたらアウトの設定を作り出したのがロメロ大先生ですね。……今、秘宝が出してるゾンビ映画大辞典読んでるんですけど

 

 

七瀬 : 自分も持ってます、人殺せそうな分厚さのヤツですよね(笑)。

前田 : 無印読むと、結構インテグラルまでの伏線がしっかり張られてて驚くんですよね。何気に読み返したら『え、これって門倉さんじゃない!?』って最近気付いて、めちゃくちゃ驚いて(笑)。もう四年近く読者してるのに最近知って申し訳ないです。ノラ君の回想だけかと思いきやちゃんと出演果たした上に、結構いい仕事してた。

黒井 : いやいや。そうなんですよね、門倉お兄ちゃんは何気に三部作全部にいますよ。一作目はウォーリーを探せ状態なんですが、ほとんど。
質問に戻るんですが、ナイトメア自体実はゾンビ映画そのものというよりはジャンル問わず他の映画を参考にしている事が多いですね。それこそアクションからホラーまでって感じです。

 

 

七瀬 : 確か以前お話しした時、フロム・ダスク・ティル・ドーンがベストテン入りするくらい好きって言っていたので『マジか! 同士よ! 握手!』って思ったんですが、確かにノリとかめっちゃ通じるものがありますね。あのハチャメチャさ。

 

​前田あれ凄い映画でしたよね。予備知識なしで見るとマジギレする人と爆笑する人に分かれると思うんですが。当時は時代が追いついてなかったんでしょうけど、今ああいうのを上映するとネット上の声がやばそう

黒井 : 凄いとしか言えない映画ですね、ほんと。色々ヤバいんですが何が一番ヤバイって、ジョージ・クルーニーとタランティーノが兄弟っていう設定が既にどうかしてると思うんですけど

七瀬 : ピンとこない人に分かりやすく説明いたしますと、キルビリーさんと前やんが兄弟って言ってるようなもんですね

黒井 : ああ、めっちゃ分かりやすい例えだ(笑)。あ、あと、ヤンシュヴァとクエイ兄弟の影響は一番強い気がします。ナイトメアだけじゃなく私自身が影響受けまくりな気がします

 

 

前田 : クリーチャーの造形とかその要素強いですね~。ああいう、怖くて可愛い、グロくてエロくて綺麗みたいなの多い気がします

黒井 : ギーガーみたいなエログロ粘液ベチョベチョなモンスターも好きですね、造形の技術あったらいっそ自らの手でデザインしたかったです

七瀬 : 黒井さんの事だからうんこ型のモンスターとかすげーしょうもないの生み出しそうだが(笑)。好きですけどね、しょうもない敵役って

黒井 : マウス・オブ・マッドネスも色濃いかなぁ。あの暗黒の世界観は終始頭にあった。

インテグラルのボイスドラマ一話目で、おじさんがシノを叔母さんの家に送り届けた後に車の中で白昼夢を見るシーンあるじゃない。街の中のシーンとした雰囲気とか、あの映画に出てくる不気味な『ホブの町』が凄い頭にあって。あとは四話目で、学校の中でおじさんに撃たれて、落ちてくる女ゾンビ覚えてる?

前田 : ああ、はい。ドロレス兄弟の車の上に落下してくる奴ですよね。

黒井 : そうそう。首藤が必死に造形を説明してますが、平たく言うとこの映画のヒロインを思い浮かべて欲しかった。私が知ってる、ヒロインが酷い目に遭う映画ベスト5に入る作品

七瀬 : 果たしてベスト1位が何なのか気になりますが(笑)。あれって笑うところなのか何なのか正直迷いましたが、それを聞いて何かめっちゃ納得しました。ていうか自分らはめっちゃ楽しいんですが、この会話、皆さん本当に楽しんでるんですかね。ちなみに自分は死霊のはらわたよりブレインデッドの方が好きだったんですけどねえ

前田 : やめろといいつつやめないという、この流れね

黒井 : ほほー、七瀬君はブレインデッド派なのか……
もはやあそこまでぶっちぎってると面白いとか面白くないの映画じゃないですよね、あれは。血とか謎の汁できったねぇんだよなあ、画面全体が。ヤダ! そんなの怖くて見れない! という紳士淑女にかいつまんで説明すると、ゾンビ同士がセックスしたり、それで赤ん坊が出来たり、神父が突然キレのいいカンフーでゾンビを殺しまくったり……

前田 : ゾンビの赤ちゃんを虐待したり、芝刈り機でゾンビの顔を八つ裂きのズタズタにするだけの映画です。何だかキチガイが書いた文章みたいですが、本当にこのまんまの映画で、それ以上それ以下でもないんですよ

黒井 : ジャケットの看護婦さんが妙にエロい癖に、実際本編に出てくるのはババアの看護婦ってのもB級映画詐欺っぽくてたまらないし。しょーもねーしホント汚いの。正直、初見ではついていけなかったんだけど今見たら感想が変わるかもしれないですね

七瀬 : いや、死霊のはらわたも好きですけど、一応まだ常識で測れる部類じゃないかなって。ブレインデッドは何かもうメーター振り切ってて、自分が作りたいもの>>>儲け っていう感じがひしひし感じられるので、流石は後に大物の仲間入りを果たすピージャク監督なだけあるなーって。両作品に共通して言えるのは『金をかけなくても工夫したら面白いものは作れる』っていう事でしょうか。死霊もブレイン~も後々巨匠と呼ばれる監督のデビュー作ですが、やっぱ出だしから頭一つ飛びぬけてますね

黒井 : 七瀬君が可愛いのにモテないのは、堂々とこういう事を言っちゃうから駄目なんでしょうね。今それがすごく分かった気がします。つーかみんな話ついてこれてる? 私ちょっと不安になってきた……

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